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懐かしマンガ その4 『ブラッディエンジェルズ』 ※ネタバレ注意 [コミック]

「地獄へ堕ちろ~!」・・・ではないので注意(^^;)。
あちらは『ブラック・エンジェルズ』、今回紹介するのは『ブラッディエンジェルズ』

『ブラッディエンジェルズ』(作/みず谷なおき)
 連載『週刊少年サンデー増刊号』1986年11月号~1987年10月号
 (少年サンデーコミックス全2巻)

海沿いの平和な町にある西湘警察署に、二人の新米婦人警官がやってきた。
一人は、内海夕紀。ふだんはおとなしく、すぐに泣き出す感傷派だが、イザとなると、なかなかのもの。
そしてもう一人、超過激なぷっつん娘、髙御堂聖。なんせ、一日に10枚もの始末書を取られたり、自宅謹慎なんて、しょっ中という猛者。
この二人、いつもケンカばかりしているようだけど、けっこう気があってるみたい。
ねえ、職務熱心なのはわかるけど、あんまりもめごとをおこさないでね、お二人さん。
   ~第2巻あらすじより

というわけで、楽なのであらすじを引用してまずは簡単に紹介。
とはいうものの、どれだけの方がこの作品を知っているだろうか。

自分がこの作品を知ったのは、実は連載終了後。
『週刊少年サンデー』本誌(以下『サンデー本誌』)での『究極超人あ~る』の連載が終わったゆうきまさみが、『週刊少年サンデー増刊号』(以下、『増刊サンデー』、以前にも書いたが「月刊誌」である)で、『鉄腕バーディー』の連載を再開したと聞いて、『増刊サンデー』を読むようになった(と思う)。
その『増刊サンデー』で連載されていたのが、『ジェミニストリート』というマンガ。

これがみず谷なおきの作品を読んだ初めての経験だったのだが、このマンガがかなり面白かった。
実は、これ以前からみず谷なおきの名前は、サンデーコミックスの巻末にある他作品の紹介記事で知っていて、それが『ブラッディエンジェルズ』(とその前作『人類ネコ科』)だった。

『ジェミニストリート』が面白かったので、他の作品も面白いはずだと半ば「カン」で、この『ブラッディエンジェルズ』はほとんど事前知識なしだったが、全2巻と短いこともあり、単行本を新刊で購入、高校生の時だ。
これがこの作品との出会いだった。

読んでみれば期待に違わず非常に面白く、笑いの部分と真面目な部分とのバランスが抜群で、よくできたコメディだと思った。
主人公二人のキャラも魅力的で、対照的な二人の掛け合いの面白さも魅力だ。
そして、何と言っても、画がメチャメチャ上手い。
透明感と清潔感あふれる、そして迷いのない流れるようなタッチで、サンデー系の本流を行くような正統的な上手さだ。
『うる星やつら』や『タッチ』などで人気絶頂だった『サンデー本誌』の裏でこんな良質なコメディ(と、その作者)が埋もれていたのかと、それまで知らなかったのをもったいなかったと思った。

全部で12話しかないが、どの話も面白い。
そんなこの作品の中で、自分の好きなエピソードを挙げるとすると二つある。

ひとつめは、第2巻の第1話。
女性アイドルがドラマで婦警を演じるにあたって、よくある「一日婦警の体験」をするお話だ。

主人公二人のミニパトに同乗中、交通事故発生の連絡が入る。
現場に近いところを走行中だった二人は早速現場へ向かおうとする。
そのときにアイドルが放った「面白そ♡」という言葉に夕紀が激怒。
思わずアイドルにビンタ!そして一喝!
「ざけんじゃないわよ!現場についてもそんな事がいえるかどうか、見ててごらん!」
うん、ここで、普段は泣き虫でおとなしい夕紀がマジ怒りするのがかっこいい。
「(ふ)ざけんじゃないわよ!」と言った言葉づかいも普段からはほど遠い。
夕紀の本気の怒りが読者に伝わってくる。

事故現場に着いてみれば、血まみれのケガ人。
そして助からなかったと示唆される子供を抱え、血だらけになる聖・・・
その惨状に震えるアイドル。
そしてアイドルは、一日体験終了の記者会見で、自分の抱える花束を、二人(を含む婦警たち)に贈ると言う。
「心優しいブラッディエンジェルズ(血まみれの天使たち)に・・・」

そう、ここで初めて『ブラッディエンジェルズ』というちょっと怖いタイトルの真の意味が明らかにされるのだ。
それまでの、ドタバタや大ゲンカなどスラップスティック気味な雰囲気からはなかなか想像できない「ブラッディ」という言葉。
作者は最初からこのエピソードをあたためていたのだろうか。
いずれにしても非常に印象深い話だった。

ふたつめは、最終回。
全12話でもちゃんと最終回はあるのだ(^^;)

いつものようにパトロール中、聖がふと出くわしたのが逃走中のスーパー強盗。
一瞬何が起きたか理解できない聖。
強盗の方も必死に逃走中、交通課の婦警とはいえ警察の姿を見て過剰反応、聖に銃を向ける。
いち早く状況を理解した夕紀が咄嗟に聖を押し倒す。
響く銃声。
道路わきの並木の中まで飛ばされた聖、起き上がって犯人を追いかけようと、さっきまで自分がいた、そして今は夕紀がいるであろう方向へ振り返りながら夕紀の名を叫ぶ。
ところがそこには道路に横たわり動かない夕紀。
体からは大量の血が・・・
「夕紀ィ!!」

夕紀は病院へ運ばれ緊急手術。
弾丸は無事摘出。
しかし傷跡は残るんでしょうと聖。

翌日、車を奪って逃走中の犯人を発見。
ところが、聖の姿も見えない。
聖の性格からして、夕紀の敵をうつためなら何をするかわからない。
上司たちも聖を見つけようと必死になる。

果たして、逃走中の犯人の車へ正面から向かってくるミニパトが一台。
もちろん運転しているのは聖。
怒りに燃える聖は怯むことなく相手の車の正面へ向かってアクセルを踏む。
結局相手が避けようとするも、ほぼ正面衝突、両車とも大破。
傷だらけになりながらミニパトを降りる聖。
やはりケガを負い、這う這うの体で車からはい出る犯人に近づいていく。
一瞬、警棒を犯人に突きつけるが、落ち着きを取り戻した聖は、警棒を手放し、犯人に手錠をかけ、無事逮捕。

一件落着・・・かと思いきや、聖のケガはかなり重傷で、腕の骨折など全治2ヶ月。
方や夕紀は全治1ヶ月。
夕紀「身をていしてかばった意味がないじゃない!」
聖「仇討ちしてやったろ!!ちったぁ感謝しろよ!」
結局病室のベッドの上でケンカを始める二人だった・・・

お互い命がけで相方を守る二人の絆が見られるよい最終回でした。
特に聖の「特攻」はカッコよかった。
ホントはいけないんだけどね、マンガだからいいのです。

さて、主人公が婦警二人のマンガ、といえば『逮捕しちゃうぞ』(作/藤島康介)が有名だ。
自分も何冊か読んだことはある。
だが、自分は『ブラッディエンジェルズ』の方が好みだ。
隠れた佳作だと思う。

最後になるが、非常に残念な事実に触れないわけにはいかない。
このマンガを含め、良質なコメディを描いていたみず谷なおきだが、1999年、38歳で急逝してしまう。
この時点で『ジェミニストリート』は作者本人の意向で単行本化されていなかった。
なので、『ジェミニストリート』を再読することができないのだ(連載時の画像はあるところにはあるらしく、高値で手に入れることも可能という話もあるらしいが)。
残念なことにほとんどストーリーを覚えていないので、ぜひ再読したいのだが・・・


・・・実は今回ちょっと遊んでみた。
『ドーベルマン刑事』で平松伸二を紹介し、『ブラック・ジャック』で「ブラック」という言葉を使った。
「平松伸二」に「ブラック」ときたら『ブラック・エンジェルズ』を連想するのではないだろうか。
そこにタイトルが似ていてあんまり有名ではない(と思う)『ブラッディエンジェルズ』を持って来たら、一見『ブラック・エンジェルズ』の記事じゃないかと見間違いするのではないか?と。
した方、しなかった方、どちらの方もスミマセン。
どうかご容赦。
でも、今回の『ブラッディエンジェルズ』は近いうちに記事にしようかと考えていたのはホントです。


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middrinn

記事表題で一瞬スルーしかけたのは、老眼の所為だけではなかったようで(^_^;)
いやぁ~正直な話、作品だけでなく、作者も全く見たこともありません( ̄◇ ̄;)
「ブラッディエンジェルズ」で画像検索しましたけど、やはり初見ヒィィィィィ(゚ロ゚;ノ)ノ
こーゆー女性2人組のコンビがお好みなんでしょうか? その言葉遣いから、やはり
「ダーティペア」を連想しました(^_^;) 「増刊少年サンデー超名鑑!!完全版」
なるデータベースありますけど、どこか読めるところあるんでしょうかね(@_@)
by middrinn (2018-11-09 22:39) 

enokorogusa

今回はちょっと新しめ(とは言っても80年代後半ですが)の作品。
自分がこの作品を知ったのもいくつかの偶然が重なった結果でした。

自分で意識したことはありませんでしたが、作品自体が「ダーティペア」の影響を受けている可能性はあるかもしれませんね。

「増刊少年サンデー超名鑑!!完全版」これは便利ですね。
忘れていたマンガをいくつも思い出しました。
by enokorogusa (2018-11-10 09:26) 

燃焼豚

雪藤も松田も原作で死んだのに新シリーズで生き返っていたのは多分、天使なので神の加護があったのだろう。
by 燃焼豚 (2018-11-10 18:34) 

enokorogusa

すいません。
お遊びがすぎましたm(_ _)m
松田が死んだのは覚えてますが、雪藤も死んじゃったのは覚えてませんでした。
by enokorogusa (2018-11-11 15:57) 

燃焼豚

こちらこそ申し訳ありません。では、真面目にみず谷作品は女の子が可愛いだけではなく、モブを含む男性キャラがしっかり描かれているの魅力の一つである。ブラッディエンジェルズでは石戸がいいです。聖に想い人が誰かと聞かれた時、鏡を見ろと切り返しががさつだか粋な男の想いの告げ方です。主人公としては夕紀がいいです。振られてしまいましたがほっといたらどうにもならないままの石戸と聖の面倒を見ようと優しさが堪らないかな。
by 燃焼豚 (2018-11-17 19:47) 

燃焼豚

ブラッディエンジェルズは隠れた名作です。
by 燃焼豚 (2018-11-17 19:50) 

enokorogusa

どうもすいませんでした(^^;)
正直、『空色みーな』以上にこの作品は知らない人多いだろう、と思っていたのですが(←なら記事にするなよ)、燃焼豚さん、しっかりとカバーされてて、すごいですね。
おっしゃる通り、もっと評価されていい作家、作品だと思います。
by enokorogusa (2018-11-17 21:07) 

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