SSブログ

スキージャンプ 2021年夏 グランプリシリーズ終了 [スキージャンプ]

スキージャンプの夏季の国際大会としては一番格付けが高いのがグランプリと呼ばれるシリーズ。
毎年10戦程度行われていて、今季も2戦中止になったものの、7月から10月2日の最終戦まで計8戦行われた。

先にも書いたように、夏季では最も重要な大会なのだが、そこはやはりスキージャンプ、冬季がいわゆる本番なのはどの国の選手も同じで、グランプリは勝ちを狙いに来るというよりは、冬に向けての練習・調整といった目的がメインになる。
そんなわけで、このグランプリ、全戦参加する選手はあまりおらず、チーム(国)ごとに出たり出なかったりする。

この夏で言えば、最初の3戦にレギュラー組が参戦した強豪国はドイツ、ポーランド、オーストリア、スロベニアといったところ。
次の第4~6戦になると、これらの国はほとんど参戦せず、代わりにノルウェーがレギュラー組で出場している。
日本はというと、この第4戦から第6戦にある程度の人数で出場しているが、小林陵侑(土屋ホーム)や佐藤幸椰(雪印メグミルク)といった、ここ数年世界のトップクラスで活躍している2名は参加せず。

ところでこのグランプリ、一応W杯同様に毎戦ごとに順位に応じた得点(優勝100点、2位80点、3位60点・・・など)があり、シリーズ総合の順位が公式に記録される。
とはいえ、調整がメインなのでこの総合順位を本気で争う選手は基本的にいない(結果的により上位だったら嬉しいというのはあるだろうが)。

ちなみに、第6戦終了時に総合1位に立ったのは、グラネルー(ノルウェー)。
昨季のW杯で初勝利を挙げるとそのまま圧倒的な強さを見せて総合優勝に輝いた選手だ。
このグランプリでも第4~6戦に参加して全勝と、その強さを維持しているようだ。
もっとも、この3戦は先述の通りノルウェー以外の強豪国・選手がほとんど参加していないので、その分は割引いてみなければいけないが。

その後第7戦・第8戦は中止となり、残り2試合。

まずは第9戦が9月25日にヒンツェンバッハ(オーストリア)で行われた。
この試合で、今季初めてグランプリに出場した佐藤幸椰が優勝、小林陵侑が2位と日本勢が上位を独占してしまった。
では、他の国の参戦状況はどうかというと、グラネルーなどノルウェーの上位選手は不参加だったものの他国はほぼフルメンバー。
うん、この2人はこの冬も期待できるかも。

そしてグランプリ最終第10戦が10月2日にクリンゲンタール(ドイツ)で開催。
この最終戦でこの夏初めて(そして最後)、ほぼ全ての国がレギュラー組で参加だ。
さあ、結局のところ一番調子がいいのは誰なのか?

結論から言うと、この最終戦は2本ともその回トップのジャンプを見せた陵侑が、2位に24.1点差をつけて完勝。
その2位には、あのグラネルー。
1本目やや失敗したが、2本目は陵侑と同じ140mを飛び、その力を見せた。
グラネルーは「陵侑がこの調子を維持したら、彼に勝つためにはものすごい努力をしなければいけない」と陵侑に対し最大警戒のコメントをしている。

FISの公式サイトでも、この2人がこの冬季の優勝争いの最有力選手とされている。
2人ともまだ若いとはいえ、やはりW杯総合優勝の実績があるというのは大きいと思う。
そういう目で評価されるのだ。

ところでこの最終戦で、オーストリアチームは散々だった。
まずハイベックが背中の痛みで欠場(その後の診断で椎間板ヘルニアとわかり手術)。
エースのクラフトが予選でスーツの規定違反で失格。
さらに本戦でアッシェンヴァルトと22歳の若手シュヴァンがやはりスーツ規定違反で失格、出場できたのは2名だけで、シフナーの30位が最高位という始末。
ただ、クラフトはこのグランプリ第3戦で優勝しており、過去の実績も充分、冬の主役候補の1人だと自分は考えている。

オーストリアといえばこの夏、偉大な選手が引退を表明した。
W杯歴代最多の53勝を誇るシュリーレンツァウアーだ。
W杯総合優勝2度、ジャンプ週間総合優勝2度、五輪のメダル4個、フライング含む世界選手権のメダル17個。
不滅と思われた、あのニッカネン(フィンランド)のW杯46勝を超えた時は本当に驚いた。
そのシュリーレンツァウアーも近年はケガとの戦いもあり、結局2014年12月がW杯最後の勝利となった。
大ベテランのイメージもあるが、10代から世界のトップで活躍していたのでまだ31歳だ。
一昔前ならともかく、今は30代前半ならバリバリの現役でもおかしくない。
昨季などは、たまに光るジャンプを見せており、復活もあるか?とも感じていただけに、残念だ。
だが、本人が下した決断だし、1人のジャンプファンとして、ありがとう、お疲れ様と言いたい。

肝心なことを書き忘れてた。

W杯の開幕は11月20日。
ここしばらくは、ポーランドのヴィスワでの開幕が恒例だったが、今季はロシアのニジニ・タギルが会場だ。
その後はほぼ毎週末のように試合があり、個人戦28試合、団体戦5試合が組まれている。
年末年始には恒例のジャンプ週間もある。

注目したいのは、年明け1月21~23日で予定されている札幌大会だ。
昨季はコロナの影響で札幌や北京などアジアの大会は軒並みキャンセルとなってしまった。
2年ぶりとなる札幌では通常の2試合ではなく3試合!組まれている。
新型コロナウイルス感染症の状況次第で中止になる可能性がゼロではないが、開催できることを願っている。
日本勢の地元での活躍に期待したい。

W杯以外に、もちろん、2月5日~14日の北京五輪、3月10日~13日のフライング世界選手権もある。
今季も楽しみだ。


nice!(3)  コメント(6) 
共通テーマ:スポーツ

nice! 3

コメント 6

燃焼豚

小林選手の全日本を優勝すごいですね。
葛西選手は22位ですがチャレンジ精神は衰えていませんねえ。
by 燃焼豚 (2021-10-24 06:03) 

enokorogusa

陵侑選手はすっかり貫禄がついてきましたね。W杯の総合優勝争いができるかも。五輪も期待できそうです。
葛西選手、22位は頑張っていると思います。でも本人は納得していないでしょう。もう一度世界での活躍を見たいです。
by enokorogusa (2021-10-24 20:11) 

燃焼豚

小林選手、Wシリーズを優勝し、二十勝目達成。おめでとうございました。
by 燃焼豚 (2021-11-29 17:08) 

enokorogusa

燃焼豚さん、こんにちは。
陵侑選手優勝の記事を書こうと思ったのですが、なんだかんだで。
今季は2位→失格→優勝→コロナ陽性で欠場と、山あり谷ありのスタートとなってますね。
コロナ陽性のあおりで今週末も欠場となります。
現在は、出ればまず表彰台は外さないと思われるほど好調なので、これで調子が崩れないことを願っています。
by enokorogusa (2021-11-30 20:25) 

燃焼豚

小林選手すごいな。久々の大躍進。一般新聞のスポーツ欄も大ききいし、テレビもスポーツコーナー以外でも取り上げられていた。
by 燃焼豚 (2022-01-27 09:23) 

enokorogusa

燃焼豚さん、返信遅くなりすいません。
五輪シーズンですから、マスコミも通常とは取り上げ方も違いますね。
残念ながら日本では五輪でメダルを取らないと覚えてもらえないマイナースポーツなんでしょう。
そんなことはともかく!陵侑選手はじめ各選手自分の出せる力を出し切ってほしいですね。

by enokorogusa (2022-02-05 11:10) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。