伊藤有希 W杯最終戦を優勝で飾る！ 2023年3月24日

3月24日にフィンランドのラハティで行われた女子ジャンプのW杯個人最終戦で、伊藤有希（土屋ホーム）が１本目の７位から見事に逆転で優勝、今季２勝目をあげ、今季の有終の美を飾った。
今季は２月５日のヴィリンゲン（ドイツ）で６季振りのW杯優勝を遂げたほか、10位以内にも何度か入るなど、近年の中ではいい調子だったので、最終戦も勝つことができて自分は嬉しかった。

１回目７位だった伊藤は２回目の飛躍後、リーダーズボードで残りの６人（１回目６位～１位の選手）のジャンプを待つことになったのだが、最後の選手が飛び終えてもしばらくは自分が勝ったことを知らず、落ち着いた様子で周りを囲む各国の選手と健闘をたたえ合っていた。
自分が勝ったことを知ると、その場で何度も飛び跳ね、他の選手達とハグし合って喜びを表わした。
ここで彼女を祝福していたのが、他国の選手たちで、彼女の人となりが愛されているんだなと思った。

２月５日に勝ったヴィリンゲン大会、その前日に団体戦が行われたのだが、そこで彼女は154.5ｍというとんでもない距離を飛んだのだ。
残念ながら着地後に背中を地面についてしまったため、転倒とみなされ、公式にヒルレコードとしては残らなかったのだが。
残念ながらと書いたがヒルサイズ145ｍのジャンプ台でこれだけ飛べば、選手の感覚では平地に降りるようなもんである。ケガをしなくて本当によかった。

ちなみに、同大会では男子のザイツ（スロベニア）が161.5ｍという、もはやフライングヒルかと思う距離を飛んでびっくりさせたが、ケガがなかったからよかったものの、伊藤のジャンプと合わせゲート設定に疑問が呈されたという一幕もあった

このラハティ大会の前、３月19日にノルウェーのビケルスンで、公式国際試合では初めて、女子によるフライングヒルでの試合があった。
さすがにいきなり正式にW杯として行うのは無理で、ジャンプ週間のノルウェー版のようなRAW AIRというシリーズの一環（最終戦）として行われた。

このフライングヒルでの試合で飛ぶことができるのは、そのRAW AIRの上位15人に限られていた。
現時点での実力上位者だけが許されるのだ。
それだけフライングヒルに挑むというのはリスクも考えられたのだ

そのRAW AIR、伊藤は好調で上位につけていたのだが、フライングヒルの直前のリレハンメルでの試合でスタート時間オーバーによる失格となってしまい、RAW AIR総合で６位から20位に落ちてしまった。

ところが、ここで各国のコーチ等が、伊藤をフライングヒルで飛べるように主催者に働きかけたのだ。
これに、各国の選手らも加わりSNSでファンも含んだ運動となり、結果、16位～19位の選手が棄権という形をとり伊藤がフライングヒルを飛べることになったのだ。
（15位の選手は年齢制限でそもそも飛ぶことができなかった）
この棄権した選手の中には日本の丸山希（北野建設）や勢藤優花（北海道ハイテクAC）も含まれていた。

伊藤はこの「特別処置」での出場に見事に応える。
１回目、最初のジャンパーとして登場すると、なんといきなり200.5ｍ！
女子として史上初の200ｍジャンパーとなって４位につけると、２回目も190ｍとまとめ、見事に３位表彰台に上がる。
その表彰式で伊藤の目からは大粒の涙が･･･
競技後、伊藤の口からは自分をこの試合に出させてくれた方々への感謝の言葉があふれ出た。

こういうエピソードを聞いて、伊藤有希が女子ジャンプ界で大きなリスペクトを受けている素晴らしい選手なんだと知ることができ、自分も嬉しかった。
28歳の彼女は、髙梨沙羅が無双していた女子ジャンプW杯の草創期から参戦していて、女子ジャンプ界ではベテランの部類に入るが、来季もぜひ活躍をしてほしい。

実は自分は彼女のサインを持っている(^^;)

タグ：スキージャンプ W杯

コメント 2

一般紙の記事には出てない情報・話ばかりm(__)m 関係ない話で恐縮恐惶ですが、
細野不二彦『1978年のまんが虫』（小学館ビッグコミックス・スペシャル,2023）
にはダーティペアのモデル、てゆーか、現物のお2人も登場してましたよ(^_^;)
by middrinn (2023-03-27 22:41) 

middrinnさん、どうもご無沙汰しております。
興味深い情報ありがとうございます。
それはぜひ読んでみたいですね～
ところで今、漫画アプリで『火の玉ボーイ』を読んでるのですが、細野不二彦がモデル、というかほぼ本人そのままのキャラが出てきて(^^;)石渡治とも親交があったんでしょうか。
by enokorogusa (2023-03-28 19:40)