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海音寺潮五郎『悪人列伝 上』 [読書]

最近ご無沙汰しております。

ちょっといろいろありまして、なかなかブログを触れない日々が続いています。

もっとも、ネガティブなことだけでなく、楽しもうと試みていることもあるのですが、ちょっと集中力が続かない・・・


その楽しもうとしていることのひとつは読書。

いつもコメントいただくmiddrinnさんのブログ(最近なかなか訪問できてないけど・・・)で紹介されている本の中から、自分でも読めそうな本を「いつか読みたい本」としてリスト化しているのですが、今そのうちから、3冊ほど図書館から借りている。

その中の1冊について。

海音寺潮五郎『悪人列伝 上』(文藝春秋,1976)

海音寺潮五郎の本は初めて読んだ(というかまだ読みかけだが)。
語彙的には難しい語句も使用されているのだが、文調はなかなか軽快で読みやすい感じがする。
この辺りはさすが作家なんだなあと思ったりする。

ただ内容に関しては、日本史研究を基にして、というよりも著者自身の思いが逸りやや勇み足的な感もある。
あと、これはもうこの文章が書かれた時代が古いので仕方ないのだが、最近の研究で明らかになってきたことが反映されておらず、一昔前の歴史観で書かれている部分も散見される。

そういったことを承知の上で、軽く娯楽的に読む分にはなかなか面白い。
第2章は弓削道鏡を「悪人」として章立てして取り上げているのだが、道鏡について書くには孝謙(称徳)天皇について書かねばならず、孝謙天皇について書くには藤原仲麻呂(恵美押勝)について書かねばならず、ということで、この章の前半は専ら仲麻呂について論じている。
「藤原仲麻呂」という独立した章立てかと思うくらいだ(^^;)
こういう拘りは嫌いじゃない。


そんなわけで、ちょっと活動が低調になってしまっているが、じき、また調子も上向くだろう。
ちょっと気を長く持って・・・


タグ:読書
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コメント 4

middrinn

連載が『武将列伝』は1959年から、『悪人列伝』は1961年からですので、
約60年前の史伝です(^_^;) 文庫版『悪人列伝』の最終巻に1967年付けの
「あとがき」があって、これらの人物列伝を書き始めた目的を二つ挙げて、
「日本人に日本歴史の常識を持ってもらうことによってオーソドックスな
歴史小説の育つ土壌を培養したいというのが一つであった。」由(⌒~⌒)
当時は(読物や文学としての価値はあれど)「歴史小説ではない」ものが
大量に生産され消費されていたそうで、それは「書く側にも、読む側にも、
歴史知識がないからである。」と判断し、人物列伝を始めたようです(^^)
「最近の研究」で否定された出来事も当時そもそも知られてなく、「一時代
前の歴史観」すら当時の人々は共有してなかった、ということかと(^_^;)
なお、「読めば日本歴史の大体がわかるようにしたい」ので、前時代の人物
の説明に次々と遡って叙述していくスタイルになったわけですが、同時に
これは歴史の因果関係を明らかにする上でも有益だと愚考します(⌒~⌒)
by middrinn (2020-07-09 10:38) 

enokorogusa

「歴史」というのは、「歴史」というモノがあるわけでなく、1人1人の人間の営みの集積だと自分は考えています。
ですから、歴史を論じるのに、人物に焦点を当てて叙述するのは、歴史を理解するためにとても有効な方法だと、自分も思います。
学校で習う歴史がしばしば「暗記モノ」とされ、つまらないなどといわれるのは、歴史を人物で語ってないからではないかと思うこともあります。
もっとも、限られた時間内で授業を行うためには仕方ないのかもしれませんが・・・
by enokorogusa (2020-07-10 18:03) 

燃焼豚

観音寺潮五郎は大河ドラマ「天と地と」を見て、原作を読んだくらい。悪人列伝は名前を知っているだけです。
by 燃焼豚 (2020-07-19 05:56) 

enokorogusa

燃焼豚さん、コメントへのお返したいへん遅くなり申し訳ありません。
『天と地と』は海音寺潮五郎だったんですね。
『悪人列伝』で取り上げられている「悪人」は、ちょっと日本史を囓った人間なら思わずニヤッとする、うまい人選だと思いました。
by enokorogusa (2020-08-13 20:45) 

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