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スキージャンプW杯2018/19 ビショフスホーフェン大会 1月6日 ジャンプ週間第4戦 小林陵侑全勝でグランドスラム達成! [スキージャンプ]

速報性に欠けるという、スポーツ記事としては全くもって致命的な欠点を持つ当ブログ。
しかしその分ディープなネタを盛り込んで、このブログを1シーズン読めばそれなりに(偏った?)スキージャンプ通になれるように、という思いで頑張っております(^^)

さて、ジャンプ週間もいよいよ最終ラウンド。
小林陵侑の総合優勝、果てはグランドスラムはなるのか?

1月6日
ビショフスホーフェン大会(HS142)
W杯個人第12戦(ジャンプ週間第4戦)

優勝 小林陵侑(土屋ホーム)
2位 クバツキ(ポーランド)
3位 クラフト(オーストリア)

22位 伊東大貴(雪印メグミルク)
23位 佐藤幸椰(雪印メグミルク)
29位 小林潤志郎(雪印メグミルク)
32位 葛西紀明(土屋ホーム)
34位 中村直幹(東海大学)

ついに陵侑がグランドスラム達成!
その他の日本勢は現状ではこんなところか。
陵侑が凄すぎるので霞んでしまうが、2本目に陵侑含め4人が進んだことはある程度評価していい。
葛西はまたしても惜しいところで2本目に進めず。

さて、前戦のインスブルックも個性的なジャンプ台だったが、この日のビショフスホーフェンのジャンプ台はさらに個性的、というかクセが強いというか。
比較的近年に造られたジャンプ台は助走路が地面からそそり立つタワー型が多い。
しかしビショフスの台は、山の斜面に沿って造られており、助走路は森に囲まれている。
その助走路がクセものなのだ。

まず助走路の傾斜がかなりゆるい。
画面を通してでもよくわかるくらいだ。
そして踏切台へ向かう前の角度変化もゆるい。
つまり曲率半径が大きい。
さらに「テーブル」と呼ばれる、角度変化後の直線部分が長い。

分かりにくい説明で申し訳ないが、他のジャンプ台が「急坂を一気に加速し、急な角度変化に耐えたらほぼすぐに踏み切り」というのに対し、「緩い坂をながーく滑り、だらだらとした角度変化部分も使って加速、角度変化部分を過ぎてもすぐに踏み切るのではなく、ちょっと一息おいてようやく踏み切り」ということになる。
それでいて、踏み切る瞬間の速度は結局他の台とそう変わらない。

実はこのジャンプ台、これまで日本人が優勝したことがない。
陵侑はそのジンクスも打ち破る必要があったのだ。

いずれにしろ、陵侑のグランドスラム挑戦という大きな話題の中開かれた今大会。
土曜日が大雪でこの日の予選はキャンセル。
日曜日に練習ラウンド、予選、本選を行う変則日程となった。
そのために、本戦1本目のノックアウト方式は取りやめ、通常のW杯と同様、予選上位50人がW杯成績順に飛ぶ方式となり、上位30名が2本目に進めることになった。

さて、その予選で若干動きが。
陵侑が3位とはいえこのジャンプ週間で最も低い順位。
もっとも、上位陣ではただ一人と言ってよい追い風、それもちょっと強めの風を受けてのものであるので、ジャンプ自体は悪くなかったと思える。
しかし、これまでと違うということでの精神面への影響がやや心配。

そして始まった決勝1本目。
予選でヒルレコードの145mを飛んだクバツキが好調を維持してトップに立つが、すぐさまアイゼンビヒラー(ドイツ)が僅差で上回る。
インスブルックではプレッシャーからか不本意なジャンプだったアイゼンビヒラーだが、復調の様子。
ジャンプ週間総合の表彰台をかける大事な日だ。
クラフトがクバツキのすぐ下に付け、いよいよ1本目最終ジャンパーの陵侑。
しかしなかなかスタートの許可が下りない。
どうやら風のコンディションが悪いようなのだが、普通なら少なくともスタート台に腰掛けて待つはず。
それが、スタート台にも進ませてもらえずゲート脇で待つ。

なんか変な力が動いているのかと勘ぐってしまいそうだが、そんなことはないと信じたい。
とはいえ、船木和喜(FIT Ski)がグランドスラムに挑戦したときは石を投げられたことがあるらしい。
しかしそんなものは一部の心無いファンがいただけのことであり、競技運営側がなにかしらの操作をしようとしたとは思いたくない。

ようやく許可が下り、陵侑がスタート。
しかし、少なからず待たされた影響があったのか、1本目は4位。
このジャンプ週間では3戦目まですべて1本目は1位だったのだが思わぬ結果。
総合優勝だけなら99.9%これで決まりだが、グランドスラムとなると微妙。
1位のアイゼンビヒラーとは4.0点差、飛距離にして約2.2m。
これだけなら十分逆転は狙えるが、問題は順位だ。
2位のクバツキ、3位のクラフトも含め上位3人のうち一人でも2本目に大ジャンプをすれば厳しくなる。
3人とも好調であり、その可能性は十分に考えられる。

そして迎えた2本目、泣いても笑っても最後のジャンプ。
陵侑ら残り4人を残してトップは1本目11位だったライエ(ドイツ)。
しかし、1本目の点差を考えれば残り4人のうちから優勝者が出るのは確実な状況。

最初に飛ぶのは陵侑だ。
ここが、前3戦と違うところ。
1本目トップで2本目の最終ジャンパーであれば、どこまで飛べばトップ=優勝となるかが明確となり、目標も立てやすい。
ところが、今回は後ろに3人も残っている。
どこまで飛べば優勝できるのかはわからない。
とにかく、今できることの最善を尽くすしかない。

このような難しい状況の中で2本目に臨んだ陵侑だが、見事だった。
137.5mの大ジャンプ、飛型点も19.5点が3人、19.0点が二人とほぼ完璧。
これは後ろの3人にプレッシャーを与えることのできるジャンプだ。
しかしまだわからない。

次はクラフト。
地元の大声援を受け、陵侑のグランドスラムを阻むべくスタート。
しかし131.5mと伸びず、陵侑を上回れない。
これで陵侑の表彰台は確定、しかし目指すは優勝、グランドスラム。

次いでクバツキ。
年齢は中堅どころでW杯も未勝利だが、近年は急激に力をつけており、いつ優勝してもおかしくない選手だ。
いつも通り胸で十字を切ってからスタート。
ところがこちらも130m、僅差でクラフトを上回り表彰台は確定させたものの、陵侑には届かない。

そして最後は、ドイツラウンドで陵侑と大接戦を繰り広げたアイゼンビヒラー。
自身にとっても、ジャンプ週間総合表彰台を掛けたジャンプだ。
ところがまたまた距離を伸ばせず、131.5m。

3人とも陵侑を上回ることができず、終わってみれば、陵侑は2位のクバツキに13.8点差をつけての圧勝だった。
これで4戦の戦いについに決着。
67回目のジャンプ週間で史上3人目のグランドスラムが達成された瞬間だった。
ジャンプ週間は4つのプロフィールの違うジャンプ台を転戦して行う。
ひとつ勝つだけでも難しいのに、そのバラエティに富んだジャンプ台を攻略して、すべて勝つ、というのは本当に至難の業だ。
単なる4連勝とは同列に語れない凄さがある。

それではジャンプ週間最終結果。

1位 1098.0点 小林陵侑
2位 1035.9点 アイゼンビヒラー
3位 1014.1点 ライエ

僅差で始まった争いだったが最終的に2位とは62.1点差と大きく開いた。
1本のジャンプ当たりに換算すると約4.3m。
これは完勝と言っていいだろう。

2位のアイゼンビヒラーは第3戦の失速があったものの、自身初のジャンプ週間総合表彰台である2位は見事に守り抜いた。
意外だったのは3位のライエだ。
一度も表彰台に上ることはなかったが、13位、7位、4位、4位、としり上がりに調子を上げ、4位のクバツキを3.3点かわして、こちらも自身初のジャンプ週間総合表彰台。

第2戦の不運な風で総合争いには絡めなかったクラフトだが、それ以外の3戦はすべて表彰台。
その実力を十分に見せた。
もしクラフトが第2戦を上位で終わっていたら、陵侑の強力なライバルになったかもしれない。
まあしかし、そういうことも含めてのスキージャンプ、そしてジャンプ週間だ。
陵侑のグランドスラムの価値は変わらない。
あと、忘れてはいけないのが、ジャンプ週間初挑戦の佐藤が総合12位に入ったことだ。
これも素晴らしい成績だ。

W杯は早速今週末からヴァルディフィエメ(イタリア)で通常営業を再開するわけだが、さて、ここでこれまで触れてなかった(というか、ジャンプ週間の陵侑の大活躍でついついちゃんと触れるのを忘れていた(^^;))W杯の総合成績を見てみよう。

1位 956点 小林陵侑
2位 529点 ズィワ(ポーランド)
3位 504点 ストッフ(ポーランド)

ジャンプ週間で振るわなかったズィワとストッフとの差を大幅に広げて、2位とは400点以上の大差がついた。
W杯では毎戦ごとに1位100点、2位80点、3位60点、4位50点、5位45点・・・30位1点というふうに順位を得点化し、その総合得点で争う。
陵侑と2位との差400点以上というのはものすごい大差だ。
まあ、12戦(うち中止1戦なので実質11戦で)8勝という圧倒的な勝率を残しているのだから、結果としては当然なのだが。

気が早いが、日本勢にとって悲願のW杯総合優勝を期待しないわけにはいかない。
そして、今季は世界選手権もある。
まだまだ楽しみが続きそうだ。

・・・かなりの長文、最後まで付き合っていただいてありがとうございますm(_ _)m

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コメント 4

middrinn

スタート台に腰掛けて待てなかったとは
実は色々とあったんですねぇ(@_@;)
この調子で、次回更新にも期待(^o^)丿
by middrinn (2019-01-09 20:12) 

enokorogusa

歴史的偉業なので書きたいことも自然と多くて、というかうまく要点をまとめきれず真っ白に燃えつきました(^^;)
さて、今週末の大会も嬉しい結果でまたヒイヒイ言いながら更新することになればいいです(^^;)
by enokorogusa (2019-01-10 18:15) 

燃焼豚

スポーツニュースの特集にてですが、この小林選手の偉業の影には葛西選手の先見の明と執念があったと解説がありました。レジェンドの異名は伊達はないですな。
by 燃焼豚 (2019-01-15 19:42) 

enokorogusa

陵侑選手を一番近くで見てきて、育ててきた葛西選手もその素質は感じていたことでしょう。
でも、葛西選手の超負けず嫌いな(^^;)性格を考えると、嬉しさの中に若干の悔しさがあると思います。
後輩に負けてばかりじゃいられないと、本人が一番強く思っていることでしょう。
選手である以上、それは当たり前のこと。
ガンバレ!葛西選手。
by enokorogusa (2019-01-16 20:24) 

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