SSブログ

「テニスボーイ」もう一度読みたくて買っちゃったマンガ(笑) ネタバレ注意 [コミック]

先日の記事で取り上げた「テニスボーイ」。
無性に読みたくなって、結局ネットで買ってしまった。
全14巻。うん、これは記憶どおり。
でも、それ以外で先日の記事で結構間違っていたところもあったので、まずはその部分について。

そもそも主人公、飛鷹の年齢が間違っていた。
高校生だと思っていたのが正しくは中学生だった。
伊集院の貫禄と、ダンスパーティや広々としたキャンパスがアメリカのハイスクールを思い起こさせるカリフォルニア学園の風景が、高校だったと勘違いしていた原因らしい。
あと、岡崎の綺麗さも(笑)
まあ、岡崎の場合は作中時間で高校生に進学しているのであながち間違いでもないのだが。

次に必殺技について。
高杉のクインビーダイナマイトは、身体中の力を使って、何度も打てないのは合っていたが、ボールから目を切っているわけではなかった。
また、伊集院の必殺ショットの名前はウルトラループスイングだった。
あと、完全に忘れていたのが、ツインビームが、飛鷹と岡崎のオリジナルではなかったことだ。
学園内のトーナメントであるランキングマッチで戦った相手の双子ペアの必殺ショットだったのを、飛鷹が試合中に咄嗟に真似して打って以来、飛鷹と岡崎の必殺技になったのだった。
そして、肝心の、主人公飛鷹の必殺技、ラケットを左手に持ち替えて打つピーコックダイヤモンドの存在も忘れていた。

かなり意外だったのが、飛鷹のキャラが、最初期はかなり違っていたことだ。
それを象徴するのが、一人称が僕ではなくオレだったこと。
加えて、「ケケケ」と笑ったりするなど、後の天真爛漫なキャラとはかなり違う少年として描かれていた。
おそらく、読者アンケートなども参考にキャラ変更があったのだと思うのだが、これは大成功だったと思う。
このおかげで、読者と等身大のキャラのイメージができて人気が出たのではないだろうか。

あと、飛鷹のプレイスタイルとしては、抜群の運動神経とともに、パワーを活かしたものだったことも忘れていた。
走り回り、どんなボールも諦めず取りに行く、という記憶だったが、小柄なのでパワーのイメージがなかった。

この漫画では、現実のテニス界ではあまり取り上げられない ミックスダブルスをメインに描いているのも大きな特徴だ。
まあ、これは、少年向けの作品なので「主人公は少年」「でも女の子をたくさん出して華やかにしたい」という条件をクリアしようとした結果だと思う。
結果的にその判断は正しかったと思う。
今作のメインヒロインとも言える岡崎を始め、高杉やジュディー寺尾など、飛鷹と関わる女性だけでなく、対戦相手などにも多くの女子選手が紙面に出てくる。
必殺技やトンデモな練習方法などもあるが、真面目にテニスをしている、ややスポ根的一面を持つこの漫画が汗臭くならないのはそのおかげだと思う。

また、この漫画のいいところは、主人公の飛鷹以外の人物にも ちゃんと見せ場を作っていることだ。
環太平洋(これも世界中じゃなかった。記憶違い)の各国の代表が戦うハワイアン・マッチで、ラフプレーも厭わないインド代表(でもインドって環太平洋か?)との対戦での伊集院の底力もかっこいいし、なんといっても、決勝戦で日本の優勝を決めたのが、飛鷹でも岡崎でもなく、高杉だった、というのもよくできてる。
まあ、結果的に高杉はこれで力を使い果たして、その後の女子シングルス に出場できず、岡崎の優勝というシナリオにつながることになるのであるが。

さて、先日の記事でも書いたが、自分は飛鷹と岡崎の淡い恋愛が大好きだ。
勝つためだけにテニスをしていた岡崎が、テニスを楽しむ飛鷹とダブルスを組むうちに、飛鷹に心を開いて行く。
二人はコート以外の場面でもいっしょに行動する事が多くなる。
飛鷹が、他の女子に半ば強引にキスされたとき、岡崎は思わず飛鷹の頬を叩いてしまったりする。
完全にやきもちだ。
このように、二人はダブルスのパートナー以上の感情をお互いに持ちながらも、交際という形にはまだ発展しない。
「飛鷹くん」「岡崎先輩」という呼び名もかわらない。

そんな折、ハワイアン・マッチでの活躍によって、飛鷹はカリフォルニア学園のアメリカ支部からスカウトされる。
強くなりたい一心の飛鷹は、衝動的に思わずOKの返事をしてしまう。
しかしその直後に「アメリカ行き」=「岡崎との別れ」であることを自覚するが、アメリカへ行きたい気持ちはもはや抑えられない。
飛鷹の旅立ちが近づいたある夜、別れを惜しむように散歩をする二人。
ふと眼を閉じる岡崎。
その額にキスするのが精一杯の飛鷹。
何度読んでもせつないなあ・・・

アメリカへ行ってしまった飛鷹へ手製のお守りを送る岡崎。
その部屋には、ランキングマッチの優勝カップをかかげる二人の写真が大きく引き伸ばされて貼られている。

ところが、飛鷹がアメリカへ行った後もなんだかんだで岡崎もアメリカへやってくる。
だが、結局以前のような関係に戻ることはない。
最終的に岡崎は、もともとカリフォルニア学園の同級生で、アメリカでの岡崎人質事件で果敢にも岡崎の命を助けにいった黒河内といい感じになる。
人質事件以外にも、結構初期から伏線は張ってあったが。
一方アメリカで成長した飛鷹は、岡崎とは恋愛を越えた、お互いひとりの人間同士、テニスプレイヤーとしての信頼関係のようなもので結ばれることになる。
この作品のラストは、二人のラリーで終わるのだ。

この作品にひとつ不満があるとすれば、最後は岡崎は飛鷹とくっついてほしかった。
でも、飛鷹の世界ツアーへの出発をラストイベントとした以上、飛鷹が岡崎とくっつくのは、飛鷹にとって後戻り的な感じを読者に与えてしまうかもしれない。
岡崎は、子供だった飛鷹が成長し、卒業すべきものの象徴といえるのかもしれない。
鉄郎にとってのメーテルのように。

最後にはやはり前回と同じように小谷憲一の作画に触れないわけにはいかない。
初期こそ、70年代の漫画の雰囲気を色濃く残しており、いかにも時代を感じさせるが、連載期間を通じてメキメキと洗練されてゆく。
この人は本当に女性を綺麗に描く。
特に目が美しい。
この変化を見越しての作画採用だとしたら、その担当編集者の眼力はすごい。

今でこそ、数十巻も続くような人気作品は珍しくないが、当時で全14巻といえば十分な人気作品だ。
正直、ハワイアンマッチがピークで、アメリカ編はやや盛り上がりに欠けたかもしれないが、つまらないわけではない。
最後は駆け込み的な感もないではないが、必要以上に引き伸ばすことなくきれいに終わったことには拍手を送りたい。
最後のページには飛鷹がウィンブルドンでベスト16に入ったことを示す英文が。
優勝でなくてベスト16というのがリアルだ。
「燃えるV」とはえらい違いだ(笑)。
いや、「燃えるV」も大好きな漫画ですよ。


にほんブログ村 漫画ブログ 漫画感想へ
にほんブログ村
nice!(1)  コメント(2) 

nice! 1

コメント 2

燃焼豚

前も書きましたが懐かしいです。当時はフィフテーンラブ、少年よラケットを抱け、RIZEなどもありましたね。それ以外にテニスの王子さまではなくジャンプでもトンでもテニス漫画があったような。百人の優等生より一人のテニスの鬼を産み出すことが目的だとほざいてた台詞しか覚えてませんが。それと記事の最後を燃えるVで閉めないでください。腹を抱えて笑ってしまいました。
by 燃焼豚 (2017-09-03 18:30) 

enokorogusa

>燃焼豚さん

>百人の優等生より一人のテニスの鬼を産み出すことが目的だとほざいてた台詞

テニスボーイのアメリカ編でこれに近いことを言った人が出てきます。
一人のスーパースターを生むためにほかの選手は犠牲になってもらうというようなことを。
ひょっとしたらこのことかも?
この人物は岡崎人質事件の重要人物で結局事故死してしまいますが。

「燃えるV」はテニス漫画と言ってよいのかどうかわかりませんが(^^;)、ふと思い出したので書いてしまいました。
by enokorogusa (2017-09-04 18:19) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。