スピードスケートW杯ソルトレイクシティ大会も最終第3日目。
この日の、ひいてはこの大会のクライマックスと言ってもよい瞬間が待っていた。
もちろん、ほかでもない、小平奈緒の1000m世界新記録更新である。

今大会、世界新記録の更新を目標にやってきた小平。
本人同様に周囲の期待も高かった。
しかし、前日までの2回の500mでは惜しくも更新ならず。
本人も相当悔しがっていた。

スピードスケートは、比較的長距離の方が記録更新の頻度が高い。
短距離の更新はなかなか難しい。
今回は小平自身の調子がよくて、またとない機会だったが、当地の天候が高気圧に覆われていたこともあり、本来の標高の高さを活かすことができなかった。

そして迎えた最終日の1000m。
もともと小平は中距離でも力を発揮できるタイプの選手だった。
以前も書いたが、本来中長距離選手で組む団体追い抜きのメンバーに入って、バンクーバー五輪で銀メダルを獲得している。
また、これまでも、500mより1000mで自身の調子を測るようなこともしていた。
昨季は500m2回、1000m2回の合計タイムで争う世界スプリント選手権を世界新記録で優勝するなど、1000mも得意としている。
この500m1000m両方世界トップというのは、これまで女子の日本勢にはいなかったタイプである。