さて、我らが葛西紀明であるが、先週のビケルスン、やはりこちらもフライングヒルで、W杯での1年振りの表彰台となる2位に入ると、一昨日の大会でも4位に入るなど、急激に復調してきた。
昨日の団体戦でも2本目に240mをマークしており、いい流れで最終戦に臨めそうだ。
とはいえ、表彰台、ましてや優勝となると、かなり難しいのも事実だ。
今は、先に名前の出たクラフト、ストッフに加え、ヴェリンガーも好調で、3強とも言える状況だ。
表彰台に登るためには、少なくともこの中の1人を上回ることが絶対条件となる。
必定、優勝となると、運も味方につけないとなかなか厳しい。
しかし、全く望みがないわけではない。
事実、先週は2位に入っているわけだから、優勝する可能性だってあるのだ。
本人は自分では語らないが、ファンから見れば、フライングヒルは得意だと思う。
W杯初優勝もフライングヒルだったし、3シーズン前の、10年振りのW杯優勝もフライングヒルだった。
今シーズン最終戦、例え優勝できなかったとしても、来シーズンにつながるビッグフライトを、ぜひ見せてほしい。
それにしても、葛西はいろんな国で人気があるようだ。
今会のプラニツァでも、地元スロベニアの選手に次ぐ大きな歓声が上がっていたように思う。
FISの公式サイトから動画のリンクをたどっていくと、Youtubeに、先週のビッグジャンプの動画がたくさんアップされているのに驚いた。
しかも、聞いたことのない言語の実況がいくつもある。
また、選手の間でもリスペクトされる存在になっているようで、一昨日の試合でも、リーダーボードの前にしばらく立っていた葛西を上回ったアイゼンビヒラーが、葛西と交代する際に、深々とお辞儀をしたりしていた。
そもそも、スキージャンプの選手は、30歳以上の選手というのは稀で、葛西が31歳でW杯優勝したときも、当時の最年長優勝記録だった。それが、今や30歳以上の選手も珍しくなくなった。
もちろん、トレーニング方法など、周囲の環境の進化も理由としてはあるだろうが、なんと言っても葛西の存在が大きいのではないだろうか。
自分よりずっと年上の葛西がトップクラスの成績を残しているのだから、自分だって、と思う選手がいてもおかしくない。
かつてのフィンランドのエースで、W杯総合優勝の経験もあるアホネンの現役復帰も、いくらフィンランド勢の低迷が続き、今シーズンの世界選手権が地元ラハティで行われるためにそれに向けたものだったとしても、葛西の存在がなければ実現しなかったかもしれない。
そういう意味で、スキージャンプ界の常識を打ち破ったエポックメイキングな存在であると言えるのではないだろうか。
さて、今日の最終戦、どんなドラマが待っているだろうか。
非常に楽しみである。
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