すでに時機を逸したラグビーの話題。
もうちょっと続きます。
さて、試合に出られると喜んでいた件。
そもそも、通っていた高校は、特にラグビーが強いというわけでもない、普通の公立高校。
ラグビーの人気がまだそこそこあった当時でも、15人揃えるのは実はギリギリ。
春の大会で3年生が引退すると、2年生だけではとてもじゃないがチームを組めない。
自分たち1年生を入れてようやく15人ちょっと。
仕方なく、ラグビー初めて数ヶ月の1年生もレギュラーに。
実はこういうカラクリもあった(^^;)
さて、ラグビーなどの格闘系球技?未経験者の方が持つ疑問として、
「タックルは怖くないのか」
というのがあるかもしれない。
他の人はどうか知らないが(^^;)、自分は最初から全く怖くなかった。
なんでだろう?
タックルの練習は、ボクシングのサンドバッグのような用具(もちろん人の体重くらいある。かなり重い)を地面に立て、それにぶつかり倒すのが基本の練習だった。
それ以外では、専用のクッションを構えた人間に当たる練習もあったが、その場合は倒してしまうと危ないので、あくまで最初の当たりの部分までだ。
もちろん、強豪校ではまた違った練習方法があるだろう。
防具を着けているアメフトに対しラグビーは生身なので痛いのでは、と思うかも知れない。
ところが、実はラグビーのタックルはそんなに痛くない。
逆に、生身同士なので、する側も受ける側も適度に筋肉がクッションになるのだと思う。
また、ラグビーのタックルは、相手を腕で抱え込まないと反則(腕をたたんで肩から思い切りぶち当たるいわゆる「ショルダータックル」は反則)となる。
また、タックルして相手が倒れてもアメフトのようにプレイが止まるわけではない(タックルは相手を倒すものだが、その最大の目的はボールを奪うこと)。
そのため、誤解を生むような表現で申し訳ないが、アメフトのような「後は野となれ山となれ」的にとにかく倒せばいいというタックルはできない。
なので、実際にぶつかり合う瞬間というのは無意識に力が入ってたり、スピードが落ちたりするのだ。
むしろ防具のあるアメフトの方がプレイの性質もあってケガをしやすいと思う。
自分は体は小さいが、タックルはかなり強烈で、チームでも一二を争うというのが、仲間からの評価だった。
自分自身でも一番思い出に残っているプレイはトライではなくタックルだったりする。
ある試合のこと。
相手FWがボールを持って自分の前に突進してきた。
おそらく90kgはあるだろう、大柄な選手。
体の小さな自分(60kgしかない)を甘く見たのだろう、避ける様子もなく、肩を前に出して自分を吹っ飛ばそうとしてきた。
(ボールを持っている選手が相手に肩から当たるのは反則ではない)
ところがどっこい、そんな手に乗ってたまるかと、自分は体の小さいのを武器にして、相手の肩をくぐり抜け、下半身へと思い切り飛び込み、おそらく太もも近辺に肩から当たると同時に、力を込めて両腕で相手の両足をバインド(腕で相手の体を締め付ける)。
相手の勢いで自分も後ろに倒されはしたが、それ以上に相手は衝撃を受けてボールを落としノックオン。
自分よりずっと大柄な選手をタックル一発で見事に仕留めた。
チームメイトからの賞賛の声が気持ちいい。
すると相手選手がなかなか立ち上がれない。
自分のタックルの当たり所が悪かったのか、あるいはバインドの際に膝を極められて痛めたのか。
そのうち立ち上がって試合を再開したので、大きなケガではなかったのだろうと思うが。
この試合の頃から自分のタックルがチーム内で評判になっただろうか。
その一方で胸を張れるものではない事態も起こってしまった。
また別の試合。
相手選手がケガ、それも骨折したらしく救急車で運ばれていく。
自チーム内で「誰がやったんだよ?」とか話しているうちに、どうやら自分のタックルが一番の原因じゃないかということになってしまった。
自分はもちろん危険なタックルをしたつもりはないし、こういうケガもラグビーではありうること。
とはいえ、さすがにこのときは、試合終了後に相手チームのところへ行って謝罪をしてきた。
自分としては、タックルは「低く(相手の太ももに肩を当てるイメージ)」当たり「しっかりバインド」して「相手の体を自分の肩に載せる」ようなつもりで「下半身(膝・腰)の力を使って」相手を倒す、というのが大事だと思っている。
特に自分のような小さな選手が大きな選手を倒そうと思えばなおさらだ。
また、タックルが見事に決まると、チームの雰囲気が変わることがある。
タックルをする、ということは、自チームが攻められていて、ピンチになるか、という状況ということだ。
そこで一発、タックルが決まって相手選手を倒すと、自チームの士気が大いに上がるのだ。
野球でも、守備のファインプレーでピンチを凌ぐと次の攻撃に勢いがつくことがあると思うが、似たようなものかもしれない。
さて、タックルは怖くない、と言ったが、それでも実際の試合の直前はやはり緊張する。
ラグビーのように激しいボディコンタクトが必要とされる競技をするには、それなりに気分を高めておく必要がある。
生理学的に正しいのかどうかは知らないが、いわゆる「アドレナリンが出ている状態」だ。
オールブラックスが「ハカ」をするのはごもっともだと思う(^^;)
ウォームアップから声を出し合い徐々に気分を高めていく。
円陣を組んでキャプテンを中心に気合いの声出し。
グラウンドに散らばる際には、チームメイトと正面から向き合い、お互いジャージを握りあって、実際に胸をぶつけあう。
それでも、その日最初に倒れ(倒され)て地面に転がるまではなんとなく落ち着かない。
一度でも地面に転がれば、もうその日は怖いものなどない(^^;)
擦り傷や切り傷ぐらいなら、試合中は気づかなかったりする。
試合が終わってから「あれ、ここ血が出てる」というようなことも普通にある。
今回はラグビーという競技のいちばんの見所とも言えるタックルを中心に書いてみた。
高校の部活動レベルではあるが、ラグビー選手の心持ちが少しでも伝わったなら嬉しい。
さて、次回はようやく今後の日本のラグビーについてちょっと書くことができそうだ(^^;)