1986年になると、F1でホンダエンジンを積むウィリアムズのコンストラクターズチャンピオン獲得のニュースが流れ、久しぶりにF1の話題に触れることになった。
そして翌年から中嶋悟がF1にフル参戦することになり、日本にF1ブームが訪れる。
一方で、アメリカのオープンホイールレースの頂点であるインディカーシリーズは、それほど取り上げられることはなかった。
ただ、インディ500に関しては、民放で生中継するなど、ある程度の露出はあった。
今でも覚えているのは、やはり今年と同じくモナコGPと同日開催となったインディ500の生中継で起こった事件。
録画放送だったモナコGPより早く中継が始まったインディ500の放送冒頭で、いきなりアナウンサーが「モナコGPはセナが勝ちました」とばらしてしまった。
当然レースファンからは大顰蹙を買って抗議の電話が凄かったらしい。
このときは自分も見ていたので、本当に腹が立って仕方なかった。
視聴率のためだと思うが、本当に馬鹿なことをするもんだ。
で、おそらく実際にインディ500の中継を見たのはこのときが最初だったような気がする。
当時のトップドライバーといえば、アル・アンサーjr、ダニー・サリバン、リック・メアーズなどがいたような気がする。
で、結局このとき勝ったのはエマーソン・フィッティパルディだったと思う。
F1で2度チャンピオンに輝いた名ドライバーだが、自分の中では過去の人という感じだったので、ちょっとびっくりした。
ちなみに、このときフィッティパルディは、インディ500伝統のミルクでなく、自分の経営する農場で取れたオレンジジュースを飲んで、少し物議を醸し出した。
このときに、オーバルコースの面白さがわかってきた。
その後、インディカーシリーズは、主催者の分裂騒動などがあり、また、日本のF1ブームも去ってしまい、民放でTV中継を見ることができなくなった。
その間レース雑誌で情報を見るだけになっていたが、10年ほど前、自宅でGAORAを見ることができるようになり、やっとインディカーシリーズをTVで見ることができるようになった。
GAORAの中継は、F1中継と違い、いい意味でゆるくて、居酒屋トーク的な雰囲気があり、自分は結構気に入っている。
さて、本題に戻って、今回の佐藤琢磨の偉業について。
今のインディカーシリーズは、基本となるマシンは全て同じで、エンジンとエアロを、ホンダとシボレーがそれぞれセットで開発し、各チームに供給している。
F1と比べ比較的マシンに差が無いのと、事故等が起きるたびにイエローコーションとなり、それまでのタイム差がリセットされること、また、給油が数回必要で、そのタイミングがイエローコーションとの関係で戦略に違いがでることなどの要因もあり、必ずしも速いマシン、ドライバーが勝つとは限らない。
とはいえ、年間を通じてみれば、やはり強いチームが勝つ。
今強いのは、チーム・ペンスキー、チップ・ガナッシ、アンドレッティ・オートスポートの3チームだ。
このうちペンスキーは事実上シボレーのファーストチームであり、シボレーが復帰してからずっと使い続けている。
対して、ガナッシとアンドレッティは、シボレーとホンダを年によってスイッチしている。
ホンダがやや劣勢なシーズンもあったが、かと言って、シボレーではペンスキーになかなか勝てない。
それなら、ホンダのファーストチームとなり、マシン開発のプライオリティを手にした方がよいとの判断もあるのだろう。
特に、昨年から、インディのようなスーパースピードウェイはホンダのエアロが優勢だともいわれ、今年はガナッシ、アンドレッティともにホンダ陣営となった。
そんなときに、アンドレッティに琢磨は加入したのだ。
F1で言えばフェラーリやメルセデス、レッドブルに加入したようなものだ。
果たして、今年のインディ500では走り出しからアンドレッティのマシンは速く、予選では見事に4番グリッドを獲得した。
そして、予選よりもさらに重要だと言われる決勝前の最後のプラクティスでは2位につけた。
ちなみにこときの1位はレース最後にデッドヒートを繰り広げたエリオ・カストロネベスである。
いかにこのプラクティスが重要だったかがわかる。
また、エリオ以外のペンスキー勢は今回ほとんどいいところがなかった。
逆に決勝でも序盤で1~4位を独占するシーンがあるなど、アンドレッティはチーム全体が調子よかった。
今年のアンドレッティへの移籍は大成功だったといえるだろう。
さて、レース後琢磨を祝福に来た中に、ダリオ・フランキッティの姿があった。
ダリオといえば、まさに5年前、最終ラップの1コーナーで2位の琢磨がスピンアウトしたときに1位を走っていた相手であるし、なによりも、琢磨とからんだ事故で首に怪我を負い、引退を余儀なくされたドライバーでもある。
そんなダリオが琢磨を祝福する姿を見て、とても嬉しかったし、ダリオに敬意を持たずにはいられなかった。
ところで、今回のレースは日本時間で深夜から早朝にかけて行われたのだが、生放送を見るのはとてもではないが無理だった。
録画したものをあとから見たのだが、なんとか情報をシャットアウトして、結果がわからないようにして見られるように、朝のニュースなどを全く見ないようにしていた。
勝っていればニュースで取り上げられるだろうし、ニュースがないということはすなわち優勝はできなかった、ということなので、ニュースそのものに触れないようにかなり気を使った。
しかもモナコGPが同日で、日本時間だと前日夜にあったので、まず先にモナコGPの録画を見てから、と思っていたので、実際にインディ500を結果を見たのは火曜日の夜だった。
なので、結果のわからない状況で見ることができたので、最後は本当にドキドキして優勝した瞬間はとても興奮して楽しむことができた。
インディ500で日本人が勝つ。
何てすごいことなんだろうか・・・
最後に、大クラッシュしたスコット・ディクソン。
無事だったのは奇跡的だ。本当によかった。
カメラマン?の方が軽傷を負ったようだが、大事に至らず。
あれだけの事故で最悪の事態になっても不思議ではなかったが、本当によかった。
ダン・ウェルドンが守ってくれたのか・・・
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