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『かわ』 懐かしい本 [読書]

先日、TVでかこさとし(加古里子)の未発表作品のニュースをやっていた。

かこさとしといえば、自分が子どものころによく読んだ本が何冊かある。
面白い本だなぁと思ったら、これもかこさとしという人の本か、と子ども心に思ったものだ。

その中でも、好きな1冊が、これだ。

 加古里子 『かわ』(《こどものとも傑作集》福音館書店,1966)

懐かしくなって、思わず市内の図書館に借りに行ってきてしまった。
図書館の検索システムで調べてみると、同じ書名で新旧2冊ある。

おそらく新しい方は再版されたものだろうと思うが、念のため2冊とも見てみることにする。
係の方に書庫から持ってきてもらうと、案の定、1冊は自分の家にあったのと同じハードカバー。
もう1冊は中身は全く同じのソフトカバー版。
同じ物を2冊借りてもしょうがないので、もちろん、昔懐かしハードカバー版を借りることに。

自宅へ帰ってから本を開くと、ああ、子供の頃を思い出すなぁ・・・

源流となる高山地帯から始まり、中流、下流へと一本の川が流れていくに従って、川の周囲の人々の生活の様子が変化していくのを描いている。
山村では木材を伐採して筏で川を流したりする様子を、中流では農村の村の様子を、下流では大きな町の様子を、という具合に。

この上流から下流という場所の移動は、同時に、より昔ながらの生活をしている上流から、建物が建ち並ぶ現代の都会という時間の推移も表わしているように思われる。

河口の風景では製鉄所や化学工場、造船所が描かれているが、その頁にはこうも書かれている。
「まちの ごみや きたない みずが ながれこんで、かわは すっかり よごれてしまいました」
子ども心に印象に残った一文だ。

この本のよく出来ているところは、全て見開きで描かれていて、川は左から右へと流れていくのだが、頁をめくると、前の頁の川の見切れの位置から、次の頁の川が始まっている、というところだ。

この表現を上手く利用して、なんと全頁を最初から最後まで1枚の紙に印刷して、折り本仕立てにしたものがあるらしい。
全部広げるとなんと約7m!
面白そうなので読んでみようと思い、予約した(市内の他の分館にあるので取り寄せ)。

ところで、今回借りたモノ、古い本にしてはやけに綺麗で、さすが図書館、保管状態がいいのかと思ったが、奥付を見たら、2001年に刷られたものだった。
21世紀に入ってからも増刷してるとは!すごい。
しかも第66刷。この時点で平均しても1年に1度以上刷ってる・・・
今も増刷してるのだろうか?

その奥付で今回知ったのだが、この作品が最初に世に出たのは、1966年よりも遡って1962年だということ。
言われてみれば、本のタイトルに《こどものとも傑作集》とあるね。
傑作集というくらいだから、それより前に「こどものともシリーズ」とも呼べる作品群があったのだろうと推察できる。
で、もう一度標題紙をちゃんと見たら、「福音館書店/1962」って書いてあったね。

今も色あせない作品・・・だと思うのは、子どもの頃に親しんだからか。
現代っ子はこれを読んでどう思うんだろう?


・・・と、久しぶりに更新したね。3ヶ月振りか・・・
今日に限ってなんか急に、時間ができたので、記事を書いてみた。
次回の更新はどうなるかわからないけれど、書けるときに書いていこうっと。


タグ:読書
nice!(5)  コメント(4) 
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コメント 4

middrinn

ご紹介によれば、巧みな構成で、内容も読ませる感じのようですね(〃'∇'〃)
絵本は幼児が食べながら読んだり乱暴に扱ったりして痛み易く買い替え需要が
一般的にあるとはいえ、伺っていると名作ゆえの増刷と小生も思います(^^)
by middrinn (2021-06-06 09:26) 

enokorogusa

川そのものは身近に感じる子どもも多いでしょうけれど、実はその上流や下流に自分達とは違う生活様式を持った人々がいたり、いろんな施設があったりして、目の前の川(社会)が全てではない、ということを自然に学ぶことができるようになっていると思います。
子どもが読んでて、次の頁をめくるのが楽しくなるような構成が上手いですね。
by enokorogusa (2021-06-06 18:00) 

燃焼豚

かこさとしさんはやっぱりだるまちゃんとてんぐちゃんですかね。懐かしいなあ。
by 燃焼豚 (2021-07-23 17:21) 

enokorogusa

返信遅くなりすいません。
『だるまちゃんとてんぐちゃん』我が家にも昔ありました。
定番の絵本といってもいいでしょうね。
ほかに理科系の作品で
『よわいかみつよいかたち』『はははのはなし』
『ちえのあつまりくふうのちから』『たねからめがでて』
など読んだ記憶があります。
子どもの好奇心をくすぐる文体と構成にとても優れた方だと思います。
by enokorogusa (2021-07-27 20:22) 

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