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スキージャンプW杯2019/20 個人第23戦 タウプリッツ-バートミッテルンドルフ大会 2月16日 [スキージャンプ]

2月16日
オーストリア タウプリッツ-バートミッテルンドルフ大会(HS235)
W杯個人23戦 


優勝 232.6点 クラフト(オーストリア)
2位 231.9点 小林陵侑(土屋ホーム)
3位 230.1点 ザイツ(スロベニア)
4位 229.4点 ストッフ(ポーランド)
5位 229.1点 ドメン・プレフツ(スロベニア)
6位 227.3点 ガイガー(ドイツ)
7位 225.9点 フォーファン(ノルウェー)
8位 224.3点 ヨハンソン(ノルウェー)
9位 220.1点 ズィワ(ポーランド)
10位 219.5点 ライエ(ドイツ) 

19位 208.2点 小林潤志郎(雪印メグミルク)
30位 183.6点 竹内択(チームtaku)
35位 171.5点 中村直毅(東海大学札幌スキークラブ)
予選落ち   佐藤慧一(雪印メグミルク)
失格     佐藤幸椰(雪印メグミルク)

この日は予選でもトップ、1本目も最長不倒を飛んで1位との差は僅か0.7点の2位。
2本目での逆転に期待がかかったが、2本目中止で2位確定。
飛びすぎでテレマークを入れられなかったのが結果としてひびいたかたちだ。
ウィンドファクターのマイナスが大きかったのもある。
一番遠くへ飛んだ選手が優勝できないことがあるのも、そういうルールなので仕方ない。
ただ、優勝した選手より12.5mも遠くへ飛んでいるだけに、今回は「う~ん」と考えてしまう(^^;)

潤志郎はまずまず。
竹内が久しぶりのフライングでポイントゲット。
中村は2本目に進めず。
慧一は予選通過ならず。
幸椰は土曜の予選でトップ。
飛んでいればそれなりの結果を残してもおかしくない。もったいなかった。
ただ、今季は全体的にスーツ違反の失格が例年より多いような気がする。
それだけみんなギリギリを攻めているのだろう。


前日に引き続きタウプリッツ-バートミッテルンドルフでのフライングヒル。
強風というわけでは無いが、風の吹き方が一定せずコンディションはちょっと難しい。
それでも、始まったときは、まさかあんな結末になるとは、思いも寄らなかった。

この日は無事予選が行われ、フライングなので出場選手は40人(通常は50人)に絞られる。
もっとも、この試合では予選40位が同点で二人いたため41人が予選通過だ。
予選では陵侑がトップ。
昨日の練習でも2位だったので、調子としてはいいと思われる。
この予選で一番運が悪かったのはシュリーレンツァウアー(オーストリア)。
他の選手が弱い風で飛ぶ中、一人だけ強烈な追い風に遭遇。
踏み切り直後に大きくバランスを崩してそのまま降りるしかなかった。

1本目。
これもまたフライングなので、競技順はW杯総合ランクではなく、フライング総合ランク順だ。
とは言っても、前日の1戦しか終ってないため、昨日の成績=フライング総合ランクだ。

1番スタートのゾグラフスキー(ブルガリア)がいきなり200m越え。
その後、シュテファン・フーバー(オーストリア)が228mと大きなジャンプ。
自己最長記録だ。

これもまたフライングの特徴なのだが、それぞれの選手の最長記録が公式に表示されている。
通常のラージヒルなどでは、ジャンプ台ごとに大きさや形状が違う(端的に言えばK点やヒルサイズが違う)ため、ジャンプ台をまたいで飛距離を比較するというのは意味が無い。
厳密には、同じフライングヒルでもヒルサイズが違うのだが、まあ、それはそれ、だ。
ちなみに現「世界記録」保持者はクラフトで253.5m、3季前にヴィケルスン(ノルウェー)で記録した。
「日本記録」はというと、陵侑が昨季プラニツァ(スロベニア)で記録した252m。
250mオーバーは世界でも数人しかいない。

フーバーのジャンプでゲートが2段下がる。
ペテル・プレフツ(スロベニア)が強めの向かい風も味方して228m、トップに。
ペテルを上回ったのが同じスロベニアのセメニッツ、230m。
さらにはドメン・プレフツがなんと232.5m、しかも追い風で、だ。
スロベニア勢はみんなフライングが強い。

さすがにドメンを上回る選手はなかなか出てこない。
そうするうちに、25番スタートのラニセク(スロベニア)あたりから風が悪くなってくる。
ラニセクとシュミット(ドイツ)は2本目に進めない。
二人とも怒りのジェスチャー。
これもスキージャンプあるあるなのだが、あまり見たくないシーンではある。

しかし残り10名となったところでまた風がよくなってきた。
リンヴィークが自己最長を更新する242m。
しかし強い向かい風のためウィンドファクターでマイナスされ、この時点で順位は5位。
リンヴィークは昨季までの自己最長が222m、それを昨日は231.5mに更新したばかり。
2日間で20mも自己記録を伸ばした。
ジャンプ週間での2勝といい、今季急速に力をつけたことがわかる。

もちろんまたゲートは2段下がる。
これで、最初の方で飛んだ選手とは4段の差となり、この台の場合プラス22.3点がゲートファクターとしてプラスされる。
22.3点というと、ゲートの移動距離は2.6mほどだが、飛距離で言うと18.5m程の距離に値する。
ゲートの差は、見た目以上に影響が大きいのだなと改めて思う。

次はいよいよ陵侑、ゲートが下がったのにもかかわらず、なんと242.5m!
ヒルサイズを大きく越えヒルレコード(244m)に迫るジャンプ、さすがにテレマークは入れられない。
もちろんドメンを大きく上回りトップ。
さらにヨハンソン233.5m、ストッフ232mと大きなジャンプが続く。

ところがこの日の気まぐれな風の犠牲者がまた出てしまった。
クバツキ(ポーランド)がK点付近で突然の失速、あわや転倒かという着地。
199mでなんと2本目に残れず。
普段は、あまり良くないジャンプでも笑顔を見せるクバツキだが、さすがに今回は頭を左右に振り厳しい表情。

陵侑を上回ったのは、最後から3番目のジャンパー、クラフト。
距離は230mだったが、向かい風が弱かったのと、飛型点が高かったため、わずか0.7点差でトップ。
昨日2位のザイツも228.5mといいジャンプで3位に。

1本目を終っての上位10人は、クラフト、陵侑、ザイツ、ストッフ、ドメン、ガイガー、フォーファン、ヨハンソン、ズィワ、ライエ。
前日も僅差だったが、この日も1位から5位までが3.5点差、同じく8位までが8.3点差という、フライングとはとても思えない超僅差。
誰が勝つか全くわからない、これは2本目が楽しみだ。


2本目。
順番はいつもと同じく、1本目の30位からだ。
最初に大きなジャンプを見せたのはアッシェンヴァルト(オーストリア)で229m。
これでゲートが1段下がる。
次のコウデルカ(チェコ)が着地直後に転倒、ヒヤッとしたが自力で歩いて退場したので大丈夫そう。
その後、時折空中でバランスを崩しそうになる選手が出てくる。風が不安定になってきたようだ。
強さだけでなく風向きも頻繁に変わる。
アイゼンビヒラー(ドイツ)が149m、ダニエル・フーバーが170mなど、風が悪すぎてちょっとかわいそうな選手も。

残り10名。
トップはリンヴィークに替わっている。
いよいよ優勝争い、というところにきて風の状況が急激に悪化する
ライエは208m、ズィワは踏み切りのミスもあったが201mと伸びず。
明らかに風がよくない。
ヨハンソンが225mでトップに立って、風がよくなったかと思ったら、すぐ次のフォーファンはわずか197m、この時点で7位に落ちてしまう。
風の状況が悪すぎたようで、怒り心頭。
手袋を地面に叩き付け、ヘルメットも投げ出し、顔も真っ赤だ。
今季初の表彰台の可能性も十分あっただけに、これは相当悔しいだろう。

総合ランク2位のガイガーも200m、一応この時点で2位につけるが、不満を押し殺すような表情。
ドメンが着地前バランスをかなり崩しながらもようやく212m、この時点で2位。
ところが、彼らはまだマシな方で、次のストッフに至ってはなんと159m、23位にまで落ちる。
両手を広げて文字通り「お手上げ」ポーズ、本人ももう笑うしかない。
2本目の最終盤になってのコンディションの急変で、いいジャンプが全く出なくなってしまった。
選手の力量云々でなく、風次第の状況、それも影響が大きすぎる。
おかげで見ている方も熱が冷めてしまう。

残り3名。
ここで一旦、風が落ち着くのを待つためにしばらく次の選手のスタートを見送る。
・・・5分・・・10分・・・
何か人の動きが見える。
運営関係者が各国のコーチ陣に声をかけている。
そして、スタート台で待っていた残り3名の選手達がスキー板を片付けて帰っていく。

なんと、残りわずか3名、というところで試合は終了。
27人が飛んだ2本目はキャンセル扱いとなり、1本目の成績がそのまま最終結果となる。
どうやら風が治まるどころか強くなってきたため、安全面も考慮した結果の判断らしい。
これは仕方ないだろう。
2本目が中止になること自体はそう珍しくはないが、残り3名の時点で、というのは初めて見た。

というわけで、自身は2本目を飛ぶことなく、クラフトの優勝が決定。
今季3勝目、通算19勝目は、彼にとって初めての母国W杯での優勝となった。
これは自分も知らなくて、かなり意外だった。

陵侑はわずか0.7点差の2位。
とりあえず飛距離に換算すると60cm弱。200m以上飛んでたったこれだけ・・・
素晴らしい成績だが、総合優勝争いを考えると、クラフトよりも上位で終えたかった。
3位のザイツも2位の陵侑とは1.8点という僅差。
昨日に続く表彰台だ。


スキーフライング総合得点ランキング

1位 160点 クラフト
2位 140点 ザイツ 
3位 129点 ズィワ

2戦連続表彰台のクラフト、ザイツがポジションアップ。
開幕時に自分が推したザイツがやっと結果を出してきた(^^;)


W杯総合得点ランキング

1位 1273点 クラフト
2位 1135点 ガイガー
3位 1045点 小林陵侑
4位 985点 クバツキ
5位 759点 ストッフ
6位 733点 リンヴィーク
7位 652点 ライエ
8位 550点 ペテル・プレフツ
9位 548点 タンデ
10位 525点 ズィワ

2本目がキャンセルされても、得点は半分になったりせず、いつも通り。
クラフトがリードを広げる。
陵侑は3位へ上がったが、安定感抜群のクラフトとの228点差をひっくり返すのはかなり厳しい。

次戦はルーマニアのルシュノブでのノーマルヒル2戦。
男子のW杯がルーマニアで開かれるのは初めてだ。
フライングの次にノーマルヒルという大きな差にどれだけ選手達が適合できるか。

これで今季は2ヶ所目のノーマルヒルでの開催。
ノーマルヒルでのW杯自体4季振りなので、FISが何らかの意図を持って開催しているとは思うが。


・・・ふう、ちょっと長過ぎだな、今回の記事は(^^;)
まあ、いつも長いのだけど、もうちょっと簡潔にまとめないと、せっかく来ていただいても全部読んでいただけないぞ。


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燃焼豚

表彰台に上がるとマスコミの態度が変わる×4。テレビは朝のニュースでやっていた。新聞記事は写真付。小林選手の巻き返しに期待。
by 燃焼豚 (2020-02-22 19:45) 

enokorogusa

この日は242.5mというインパクト大の最長不倒距離も飛んでましたし、優勝の可能性も十分にありましたからね。
マスコミも伝えやすいんでしょう。
by enokorogusa (2020-02-22 21:28) 

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